フルート、クラリネット、サックスなどの管楽器をフリマアプリで購入する人が増えています。
新品より安く手に入ったり、すでに廃盤となった珍しいモデルを見つけられたりする魅力がある一方で、やはり個人間取引ならではの「トラブル」はつきものです。
楽器は非常に精密なため、ちょっとした不具合が演奏に致命的な影響を与えます。
高額な買い物で失敗しないよう、実際に筆者が経験した失敗談を踏まえながら、注意点と解決の流れをご紹介します。
1. フリマアプリで管楽器を買うメリットと潜むリスク
まず、メルカリで管楽器を探す前に、その魅力とリスクを正しく理解しておきましょう。
| 項目 | メリット | リスク(注意点) |
| 価格 | 新品より安く手に入る。 | 保証がないため、別途調整費用(数万円)がかかる可能性がある。 |
| 品揃え | 廃盤モデルや希少な楽器に出会える。 | 状態の判断が難しく、説明文と現物に差があることが多い。 |
| 取引 | スマホ一つで完結できる手軽さ。 | 個人間取引のため、トラブル時の交渉や対応が困難になるケースがある。 |
結果的に、調整費用や修理費用を含めると、専門店で買うより高くつくケースもあるため、「全体的なコスト」を考えて判断することが重要です。
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2. 管楽器購入でよくあるトラブル事例
楽器は非常にデリケートなため、次のようないくつかの問題が起きがちです。
2-1. 演奏に致命的な影響が出る故障・不具合
- 演奏不能な故障:届いた楽器が音が出ない、キーが固着している、タンポが破れていた。
- 情報不足:写真や説明が不十分で、届いて初めて深刻なダメージに気づいた。
2-2. 輸送や梱包による問題
- 輸送中の破損:梱包が甘く、輸送中の衝撃でキーが曲がったり、管体に凹みができたりした。
- 付属品の不足:マウスピースやリード、ケースが説明通り入っていなかった。

楽器店から発送する時は衝撃対策をして
発送しています

え?!そうなの?
衝撃に弱い部分に特殊なネジで補強したり、楽器が動かないようにケース内に衝撃材をしっかりいれるようにしています。
梱包箱にも工夫をして届けるようにもしています。
メルカリに出品される方のほとんどは、衝撃対策の工夫をしていないので運送会社でも

楽器内の衝撃対策はしていますか?
と尋ねられるケースはたまにあります。
特に多いのが、次の【私の体験談】でもご紹介するように、見た目ではわからない演奏上の不具合です。
3. 【私の体験談】フルート購入で起きた「まともな動きがしない」トラブルと解決法

あるとき、出品写真と説明文を見て安心しフルートを購入しましたが、実際に届いた楽器は深刻な状態でした。
- 届いた状態: トリルキー(2つあり)がそれぞれ独立して動かないといけないのに、
ひとつのキーを押すと2つとも連動してトーンが開く
硫化も起きていて、頭部管が真っ黒(ポリッシュで除去はできます)
※硫化とは銀製のフルートが空気中の硫黄尾成分と反応して黒く変色する現象です。 - 私の初期対応:
- 受取評価は絶対に行わない。
- 楽器に詳しい人に連絡して見てもらい「返品がいい」と判断
- すぐに取引メッセージで出品者へ連絡。
- 楽器の具体的な不具合箇所を写真や動画をいろんな角度から撮影し、出品者に連絡。
- 解決までの流れ: 出品者が非を認めず、何度も取引メッセージで受け取り評価を早くするよう要求されました。
これは個人で解決できないと判断し、事務局に連絡して仲介に入ってもらい、返品は認められ返金もしていただけました。
もちろん、出品者には何らかのペナルティは与えられていいます。
事務局側でどちらが悪いかは判断され、悪い方にはそれなりのペナルティは与えられます。
しかし、どのようなペナルティを受けたかは被害を受けた側には連絡されません。
このように冷静に進めれば解決に至ることもありますが、解決に時間がかかるケースは多いです。
この体験から学んだのは、「購入前のチェック」が命綱だということです。
4. トラブルを未然に防ぐための鉄壁チェックリスト

リスクを最大限に減らすためには、購入ボタンを押す前に以下の点を徹底的に確認しましょう。
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4-1. 出品者・説明文のチェック(信頼性の確認)
| 確認事項 | チェックポイント |
| 出品者の評価 | 「良い」評価の星が5評価であること |
| 整備・調整状況 | 「整備済み」「調整済み」の記載があるか。記載がない場合は、「最後にいつ調整に出したか」を質問する。 |
| 状態の具体性 | 「現状渡し」「ジャンク品」と安易に記載されていないか。(これらがある場合は補償対象外のリスク大) |
メルカリの出品者評価は、直近100件しか表示されないので、過去に悪い評価があった可能性もあります。
自己紹介を読んでみて「この人との取引はしんどいかな」と感じた時は、控えた方が安全です。
ときどき出品者独自の「マイルール」を作っていて、トラブルがあった時に困る場合があります。
マイルールは原則作ってはいけないので、あまりにもきつい内容であれば避けるのがいいでしょう。
4-2. 写真のチェック(現物状態の確認)

- 重要箇所のアップ写真: タンポ(パッド)の破れや変色、キーの連結部分のサビや緑青(サビ)を確認する。
- 光の当たり方: 写真が明るく、楽器の全体像だけでなく、細部まで鮮明に写っているか。暗い写真は意図的にキズを隠している可能性がある。
- ケースの状態: 付属のケースに破損がないか。ケースが破損していると、楽器本体も輸送中に傷みやすい。
※木管楽器のタンポの撮影写真は、見えにくいケースが多いので気になれば出品者にわかるような写真のアップをお願いしていいです。
5. もし問題が発生した場合の冷静な対応手順

購入後に問題が見つかったとしても、焦らず以下の手順で行動しましょう。
5-1. 受取評価をせずに、即座に出品者へ連絡
これが最も重要です!
受取評価をしてしまうと、取引が完了と見なされ、メルカリ事務局を介した返金が非常に難しくなります。
5-2. 状況を具体的に、証拠と共に報告
取引メッセージで、故障箇所や不具合の状況を写真や動画で具体的に伝えます。

写真や動画は動かない証拠よ
感情的にならず、事実を正確に伝えることが、誠実な対応を引き出す鍵となります。
以前は、事務局や取引相手に動画を送るのはできませんでした。
今は動画を送れるようになっていますので、必ず動画は撮りましょう。
出品側になった時も、梱包状態などの写真や動画は証拠になります。
5-3. 話し合いでの解決が困難な場合は事務局に相談
出品者との話し合いが難航した場合、これまでのやり取りの履歴を全て添えて、メルカリ事務局に相談しましょう。
動画や写真を撮影していれば、必ず添付して相談しましょう。

写真と共に詳しい説明は大事よ
ただし、「現状渡し」や「ジャンク品」の記載がある場合は、購入者側の自己責任が問われるケースが増えているため、注意が必要です。
5-3.事務局でもダメなら法的手段を
事務局でも解決できず取引キャンセルにならない場合は、早めに消費者センターへ相談しましょう。
どこまで解決できるかは難しい点はありますが、事務局に働きかけてくれる力はあります。
6. まとめ:リスクを理解すればフリマアプリは強力なツールになる
フリマアプリでの管楽器購入は、新品よりも安価に、そして希少なモデルと出会える素晴らしいチャンスを提供してくれます。
しかし、その裏には「保証なし」「調整費用が別途必要」というリスクが必ず存在します。
今回ご紹介した「鉄壁チェックリスト」を徹底し、万が一の際は「受取評価前の即時連絡」を徹底することで、私のように最終的に返金という形で解決できる可能性は高まります。
不安を抱える方は、ぜひこれらのポイントを参考に、賢くお得に楽器を購入してみてください。


