フルートを始めたいけれど、「お手入れが難しそう」「壊してしまわないか心配」と感じている方も多いのではないでしょうか。
ご安心ください!
フルートのメンテナンスは、いくつかの簡単なルールを知っていれば誰でもできます。
この記事では、これからフルートを始める方が不安なく楽器と向き合えるよう、
「自分で毎日やるべきこと」と「プロに任せるべきこと」を
明確にして、正しいメンテナンス方法をご紹介します。
<この記事でわかること>
・毎日の演奏後の日常手入れは大事
・楽器の定期点検は忘れずに。修理が必要になる場合あり
・プロに任せるべき点はプロに任せよう
・保管の際に衝撃と湿気に注意
まず揃えたい!フルートのメンテナンス用品

フルートのお手入れに必要なものは、主にこの4点です。
クリーニングロッドは楽器付属品です。
そのほかのものは、個別で購入か初心者セットで購入です。

購入時におまけしてくれるものもあるよ

クリーニングペーパーやガーゼはおまけでおつけしますね
消耗品ですしね。
| アイテム | 用途 |
| クリーニングロッド | 管体内部にガーゼを通して水分を拭き取るための棒。 |
| ガーゼ/スワブ | ロッドに巻き付けて管内の水分を拭き取る布。 |
| クリーニングペーパー | タンポ(キィの裏のパッド)の水分を取るための専用の薄い紙。 |
| ポリシングクロス | 楽器の表面(管体)の指紋や汚れを拭き取るための柔らかい布。 |
クリーニングペーパーは消耗品なので、100均の油取り紙を代用している人はいます。しかし、お化粧直しのパウダーが付いているものがあるので楽器店で売られているクリーニングペーパーをお勧めします。
1. 毎日が肝心!演奏後に行う日常のお手入れ(自分でやるべき基本)
このセクションで紹介する作業は、楽器を良い状態に保つための基本中の基本です。
難しい技術は不要なので、演奏後に必ず習慣にしましょう。
1.1. フルートの命!管体内部の水分除去
演奏で溜まった管内の水分を完全に拭き取り、タンポの劣化を防ぎます。
【方法】
- 楽器を3つのパーツ(頭部管、主管、足部管)に分解します。
- クリーニングロッドの先端の金属が絶対に出ないように、ガーゼやスワブをしっかりと巻き付けます。
- 管内をゆっくり回しながら水分を拭き取ります。
- 特に頭部管の奥の水分は念入りに拭き取ります。
- 主管・足部管は、掃除棒を一方向(下から入れて上から抜くなど)に通すのが安全です。

まずフルートを分解します。

クリーニングロッドにスワブを巻き付けます。

管体の水分を拭うために、スワブを巻き付けたクリーニングロッドを管体に入れます。
一方通行ですね。
1.2. タンポのベタつきを防ぐ!水分除去

トーンホールを塞ぐタンポに水分が残ると、ベタつきや破れの原因になります。
【方法】
- クリーニングペーパーをタンポとトーンホールの間に挟みます。
- キィを軽く数回「パタパタ」と動かして、ペーパーに水分を吸収させます。
- 【最も重要な注意点】 キィを閉じたままペーパーを引っ張ると、タンポが傷つく原因になるので絶対に避けましょう。
1.3. キラキラを保つ!管体表面の清掃
演奏後に楽器の表面に付いた指紋や汗、ホコリを拭き取るだけで、変色やサビを予防できます。
ジョイント部にもホコリがついて、次に使う時に組み立てても抜けない場合があります。

ジョイント部も丁寧に吹きます。
【方法】
- 柔らかいポリシングクロスで、管体に沿って優しく丁寧に拭き取ります。
- キィのメカニズムに強い力がかからないよう注意してください。
2. プロにお任せ!自分で触らない方が安心なケア
フルートのメカニズムは非常に繊細です。
音色や音程を決める重要なパーツの調整は、初心者が自己流で行うと逆に楽器を傷めてしまうリスクがあります。

一度自分で注油をして、タンポまで
オイルが染みていたの

影響が出るのでタンポ交換になりますね
ここでは、自分で触らずプロのリペアマンに任せるべきことをご紹介します。
2.1. キィオイルの注油

楽器店で、キィオイルが売られていて「使用された方がいいですよ」とあまり知識のない店員さんに勧められることがあります。
キィオイルは、差し方を間違えると楽器にダメージを与えてしまいます。
- 素人が触るリスク: オイルの量が多すぎるとホコリを吸着して動きが悪化したり、オイルがタンポに付いて劣化を早めたりする原因になります。
- 推奨: キィの動きが悪くなったり、カチカチと異音がし始めたら、無理に自分でオイルを差そうとせず、楽器店や先生に相談しましょう。
プロが適切な箇所に適切な量を注油してくれます。
2.2. 反射板の位置チェックと調整(ヘッドコルクの調整)
- 素人が触るリスク: 頭部管の奥にある反射板は、音程のバランスを決める非常に重要なパーツです。ロッドを使って自分で位置をずらしてしまうと、全体の音程が狂ってしまいます。
- 推奨: 定期点検の際に、リペアマンに「反射板の位置もチェックしてください」と依頼しましょう。
実は、反射板の位置チェックはあなたでもできます。

クリーニングロッドの穴が空いていない方に印が入っています。(赤丸部分を覚えておいてね)

頭部管に印が入っている部分を入れて、印が中央にあれば問題はありません。
2.3. 定期点検・全体調整(半年に1回〜年1回)
フルートを最高のコンディションで長く使うためには、定期的なプロによるメンテナンスが不可欠です。
【プロにお願いする作業例】
- 全体バランス調整: キィの連動やタンポの密着具合をチェックし、音が出やすい状態に調整してもらいます。
- ヘッドコルク交換: 反射板の位置を保つコルクは消耗品です。定期的な交換が必要です。
- タンポ交換: 劣化したり破れたりしたタンポを交換し、音漏れを防ぎます。
3. 保管時の注意点
- ケース内: 使用済みのガーゼやクロスは、湿気の原因になるため必ずケースの外に出しましょう。
- 衝撃対策: 持ち運びの際は、ケースカバーなどを利用して外部からの衝撃からフルートを保護しましょう。
- 環境: 極端な温度・湿度の変化は楽器に悪影響を与えます。直射日光の当たる場所や、エアコンの風が直接当たる場所での保管は避けてください。
ケース内の湿気取りとして「モイスレガード」といった除湿シートが販売されています。

除湿シートを使っている人は多く、タンポのもちも長くなるのでぜひ買っておきましょう。
私のフルートのお手入れと定期点検の頻度について
私は中古フルートを購入後に違和感を感じて、ネットで調べてすぐに診てくれる楽器店のリペアルームを利用しました。
その時の対応がよかったので、新たにフルートを購入後も担当してくださったリペアマンさんに点検を依頼しています。
楽器の構造や手入れで疑問に思うこともリペアマンさんに教えていただいています。
普段の手入れは、楽器店と先生から指導をもとに手入れをしています。
定期点検の頻度は、半年に1度。
「ぬぬ、なにかおかしい」と感じた時は、楽器店に連絡して臨時の点検が必要かを相談しています。
信頼できる楽器店の店員さんやリペアマンさんができれば、安心して相談できますね。
まとめ
フルートのメンテナンスは、毎日の「水分除去」と「表面の拭き取り」が9割です。
これからフルートを始める皆さんも、
「毎日のお手入れは自分でしっかり行う」「難しいことはプロに任せる」
という2点を守れば、楽器はきっと最高の状態で応えてくれます。
不安を感じずに、ぜひフルート演奏を楽しんでください!

